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ポリアセタールPOM

POM(ポリアセタール)は、優れた機械的特性と耐摩耗性を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックです。自動車部品や産業機械など、さまざまな分野で特徴が活かされています。その一方で、耐候性に劣るため使用環境に注意が必要です。また、接着性も低く、メッキ加工や塗装加工には向いていません。本記事では、POMの特徴や種類、用途、切削加工時の注意点について詳しく解説します。

POMの加工なら宮崎製作所

宮崎製作所では、長年の経験とノウハウを活かしたPOMの切削加工をおこなっています。お客様のご要望に沿って、さまざまなPOM製品の切削加工が可能です。

加工実績サンプル

ポリアセタール(POM)

  • カム 用途 カム

    寸法 20×22.5×47.5

  • パーツ受け 用途 パーツ受け

    寸法 25×56×56

  • コネクタ 用途 コネクタ

    寸法 26.3×35×47.7

  • ガイド 用途 ガイド

    寸法 15×25×52

  • ボタン 用途 ボタン

    寸法 12×15×57

  • 台座 用途 台座

    寸法 7.5×34×40

POMとは

POM(ポリアセタール)は、高い機械的強度や耐摩耗性、低摩擦性を持つエンジニアリングプラスチックの一種です。主に自動車部品や産業機械、電子機器など、厳しい条件下で高い性能を発揮する用途に使用されています。結晶化度が高いことから優れた剛性や耐薬品性を持ち、金属部品の代替材料として活躍しています。また、POMは摩耗に強いため、摺動部品にも適した素材です。切削加工が容易で、精密部品の材料としても採用されています。


POMの種類

POMには主に「標準POM」と「ガラス繊維強化POM」の2種類があります。それぞれの特性に応じて用途が異なり、標準POMは一般的な機械部品に、ガラス繊維強化POMは高い強度が求められる場面で使用されます。


標準POM

POMは5大エンジニアリングプラスチックのひとつで、標準タイプでも高い性能を誇る樹脂素材です。機械的強度と耐摩耗性、耐薬品性に優れ、多くの溶剤や油脂に対しても安定しているため、広範な分野で使用されています。また、切削加工がしやすく、高精度な部品の製造が可能です。自動車のギアや軸受け、産業機械の摺動部品、家庭用電化製品の内部部品など、日常生活や産業界で幅広く活躍しています。ただし、紫外線に弱く耐候性には難があるため、適切な使用条件を考慮する必要があります。ホモポリマーとコポリマーの2種類があり、コポリマーのほうが連続使用温度が高いです。


ガラス繊維強化POM

ガラス繊維強化POMは、標準POMにガラス繊維を添加することで強度と剛性を向上させたタイプです。特に引張強度や曲げ強度が優れており、高負荷がかかる部品や構造材に適しています。また、寸法安定性が向上しているため、高精度が求められる用途にも使用されます。例として、自動車のエンジン周りの部品や工業用の機械部品が挙げられます。しかし、標準POMに比べて加工時に工具の摩耗が早いことや、生産コストが高くなるのがデメリットです。ガラス繊維によって相手材へ研磨作用を与えるリスクがあるため、摺動用途には適しません。


POMの特徴

POMは、優れた機械的特性や高い耐摩耗性、低摩擦係数を持ち、精密機械や自動車部品などの幅広い分野で活用されています。


優れた機械的特性

POMは、エンジニアリングプラスチックの中でも特に優れた機械的特性を持っています。高い剛性と引張強度、耐衝撃性に優れており、金属に匹敵する性能を発揮します。また、クリープ特性(長時間荷重を受けた際の変形の少なさ)にも優れており、長期間にわたり形状を保つ必要がある部品に適しています。そのため、自動車や産業機械、電子機器の部品として採用されることが多いです。さらに、POMは加工が容易で、複雑な形状の部品の製造にも適しています。


高い耐摩耗性

POMは高い耐摩耗性を持ち、摩擦や磨耗が発生する部品に適した素材です。特に、連続的な摺動運動が求められるギアやベアリングなどに使用され、耐久性が求められる用途で高い信頼性を発揮します。油や水などの潤滑剤を使用しなくても摩耗による劣化を抑えられるため、メンテナンスコストの削減にもつながります。この特性により、潤滑剤を使用できない環境や、潤滑が難しい部品にも適用が可能です。


低摩擦係数

POMは動摩擦係数が0.15と低いことから、優秀な摺動特性を発揮し、回転部品やスライド部品において高い効率性と耐久性を実現します。たとえば、自動車のウィンドウレギュレーターやプリンターの可動部など、摺動性能が重要な部品で広く利用されています。また、低摩擦特性によって、エネルギーロスを抑えると同時に、部品の長寿命化を図ることが可能です。自己潤滑性も備えており、メンテナンスの負担を軽減し、潤滑剤の使用を最小限に抑えられます。


POMの弱点

POMは優れた特性を持つ一方で、耐候性や難燃性、接着性、透明性などに難があります。以下、POMの弱点について解説します。


耐候性が低い

POMは屋外や直射日光にさらされる環境での使用には適していません。特に、紫外線による物性変化や変色が生じる可能性があるためです。耐久性が低下しやすく、メンテナンスや部品交換の頻度が高くなる場合があります。


燃えやすい

POMは分子構造に酸素原子を含むため、酸化指数が高く燃えやすい特性があります。防火性が求められる用途では、POM以外の難燃性に優れる他の樹脂材料が推奨されます。


接着性が悪い

POMは自己潤滑性が高く、一般的な接着剤では接着が困難です。表面処理後に専用接着剤を使用するなど、接合部の強度を高める対応が求められます。


透明な部品が作れない

POMは結晶性が高く、無色透明にはできないプラスチックです。光学用途やデザイン性のために透明部品を製作したい場合には、アクリルのような透明性の高い素材を選ぶ必要があります。


POMの用途

POMは、さまざまな分野で採用があり、その特性が活用されています。ここでは、POMの主要な用途を解説します。


自動車部品
自動車分野では、POMはドアハンドルや燃料システムの配管部品など、金属代替部品として広く使用されています。その高い耐摩耗性と寸法安定性により、長期間の使用でも安定した性能を発揮します。ドアシステムやベアリング、各種ギアシステムといった動力伝達に関わる部品や摺動部品での活用も多いです。


産業機械
産業機械では、スプロケットやカム、軸受け、ガイドローラーといった摩耗が発生しやすい部品に採用されています。低摩擦係数と耐薬品性が求められる環境でも、POMは高い耐久性を持ち、潤滑が難しい部位でも性能を維持できる樹脂素材です。


配管部品
化学プラントや水処理設備では、POMの耐薬品性と剛性を活かし、配管の継手やバルブ部品に使用されています。腐食や摩耗に強いため、設備の信頼性向上に寄与すると同時に、メンテナンス頻度を減らすのにも役立ちます。


電気・電子機器
POMは、スイッチ部品や端子ホルダー、コネクタ部品、スライド部品など、電気機器や電子機器にも活用されています。特に低摩擦性と寸法精度が重視される用途において、他のプラスチックよりも優先して選択される素材です。


これらの用途に加え、家庭用電化製品や医療機器など、多様な分野で幅広く活用されています。


POM加工の注意点

POMは切削加工がしやすい素材ですが、加工時にはいくつかの注意点があります。以下に、代表的なポイントを解説します。


切削加工時の適切な工具選定
POMの加工では、切削工具の選定が重要です。POMは硬度が高いため、工具が摩耗しやすい素材です。そのため、高速鋼や超硬工具の使用が推奨されます。また、刃先の形状を適切に調整することで、切削面の精度向上が可能です。


加工時の温度管理
POMは加熱によって軟化しやすい特性を持つため、加工時の温度管理が非常に重要です。加工中に過度な発熱が生じると、寸法変化や表面の品質低下を招く可能性があります。そのため、適切な加工速度や切削条件を設定し、切削液や冷却剤を使用して温度を抑えることが推奨されます。


クランプの工夫と振動対策
加工時にPOMを固定する際、素材の滑りやすさを考慮してクランプを工夫することが重要です。不適切なクランプ方法ではしっかりと固定できず、加工精度が低下する恐れがあります。加工条件と固定方法を最適化することで振動を最小限に抑え、より加工精度を高めることができます。

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